事例研究 | 広告]
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事例の件名 | ケーススタディ: 仕事でミスが続き心療内科を受診、ADHDと診断された |
状況や現象 | Dさん、女性30歳。大学卒業後就職したが、いずれも長く勤められず現職は転職5回目。
販売員として入社して半年になるが、仕事の手順などが覚えられずミスが続いた。以前の職場でもミスが多く、居づらくなって転職するパターン。
現職は販売の仕事だが、お客様の話をよく聞けない、伝票処理の手順が覚えられない、並行していくつかの業務がこなせないなど、自分でも困っていた。
先輩にも「もう何回も教えたでしょ」「なんで覚えられないの?」ときつく言われることが多い。 |
本人が困っていること | 周囲から理解されない, 仕事が覚えられない, デスクが非常に乱雑
① 自分では一生懸命やっているつもりだが、うまくいかないと感じることが多い。仕事が嫌いとか仕事をしたくないという気持ちは全くなく、むしろ頑張りたいと思っている。しかしあまりにミスが続くので、先輩たちとの関係性も悪くなってつらく感じている。
② 先輩たちからは「覚えられない」ということでやる気がない、能力が低いと思われている。女性ばかりの職場であからさまに悪口をいう先輩もいて、Dさんが居づらい雰囲気になっている。
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周囲(上司・同僚・家族等)が困っていること | 指示したことができない; 失敗を報告しない、看過するなど; 挨拶、謝罪、お礼なども言わない; すぐ忘れる; たびたび物を失くす; デスクが非常に乱雑
上司や同僚が丁寧に仕事を教えても、当人はすぐ忘れてしまいます。ワーキングメモリが小さいといわれやすいですが、たくさんの処理ができなく、周囲にしわ寄せが来てしまいます。
失敗の報告やお客様や上司へのお礼さえ、いうのを忘れてしまうことが多く、メンタルヘルス問題の中では、かなりなトラブルになりやすく、周囲の理解、あるいは適職への異動などが必要です。
ほかに、世話してあげている先輩や後輩に対して、失敗したときに「私のせいじゃない」などと暴言をはなつ時や「XXXができます」などのように虚言となる時もありますので、さらにトラブルメーカーにみられがちです。 |
考えられる病気の可能性 | ADHD(注意欠如多動性障害); 発達障害 |
当人や周囲がやったことがいいこと、解決のヒント | インターネットで見たADHDの症状に自分が近いと感じ、ADHDの検査がある精神科を受診、ADHDと診断された。
ADHDを扱っている心療内科・精神科 服薬も可能だが、環境調整が重要になる。
カウンセリングでどのように行動したらいいかを考え、職場にも説明をして理解を得てフォローしてもらうよう調整。
仕事意欲がある人は多く、年功序列で主任などになったりする場合もありますが、ワーキングメモリが小さいため、それ以上責任感ある仕事をまかせるには、こまめにスケジュールを管理したり、TODOリストを作ったり、アラームを鳴らしたりなど、非常に業務の工夫を職場でしなければなりません。できないと、周囲の理解が不足したり、しわ寄せもあるため、その職場で居づらくなり、うつ病など、併合的な病気になりがちです。
当人に自覚症状がない場合は、上司が家族などと相談して、専門医や産業医に行くように促しましょう。ただし、夫婦そろってや親子そろって発達障害である可能性も高く、促しても逆切れする人もいます。客観的な事実を記録しておき、指摘するようにして、カウンセリングに誘導します。 |
備考 | ADHDとアスペルガーは、発達障害の一種ですが、特徴が違います。1人で2つの発達障害を重ねていることはありえますので、当人が気づいたときはすみやかに発達障害を扱う病院に行くべきです。
発達障害という名前とはイメージが異なり、知能が低くないことが多いですし、子供の時にがさつな動作をしていても大人になると一見、がさつな行動は減り、目がきょときょとするだけや指を動かすだけなどに収まることも多々あります。 |