事例研究 | 広告]
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事例の件名 | ケーススタディ: 暴言で周囲の理解が得られず、アスペルガー症候群 と診断される |
状況や現象 | MMさん、男性43歳。大学卒業後、企業の情報システム部門に10年以上勤務している。
まじめで、てきぱきとしていて、信用されてマネージャをしているが、プロジェクトを遅延させてしまい、最近いらいらしており、暴言が激しくなっている。すぐ「プロジェクトが遅れているのは、XXさんのせいだから!」などと他責的な発言が多く、リーダ意識が低い。管理能力も低く、徹夜をしたスタッフをさらに2日目も徹夜させようとして、後日、部長に叱責された。それ以外にも、過酷なことを平気でいうので、チームメンバーから嫌われている。外注の取引先からも、「無理なことをいうから」と陰では評判が悪い。
当人はあまり困り感がないが、第三者から見ると居づらい状況である。 |
本人が困っていること | 周囲から理解されない
自分の感覚と、周囲の感覚が異なっている。当人は「それほど非難されるほどなのだろうか」と疑問に思っている。(要するに当人には気づいていない。) |
周囲(上司・同僚・家族等)が困っていること | 空気が読めない; 他人との違和感がある 思いやりなど周囲への配慮に欠ける
1人でこつこつするような仕事でしたら、MMさんはまじめなので問題がありませんが、まじめであるゆえにリーダ的な立場に立つと、周囲との違和感が際立ってしまいます。
周囲への配慮ができないため、部下が疲れていても平気で次の命令をします。こういった上司の下で働くと、ブラック企業そのものです。一点集中をしてしまうので、企業倫理観をなくしたり、部下がついてきません。 |
考えられる病気の可能性 | アスペルガー症候群 |
当人や周囲がやったことがいいこと、解決のヒント | アスペルガー症候群では、周囲との感覚の違いや、よく人の顔色などがわからないといわれています。アスペルガー症候群の人は、暑さ寒さの感覚が違うので、一緒の部屋にいるとストレスを感じがちです。この例では、相手の顔色がわからないため、徹夜していて調子の悪い相手が、MMさんには実感できないのです。
周囲は、「あなたの感覚とまわりとは違うので、きちんと配慮してください」とはっきりいうべきです。こういった労働条件違反のようなことを言い出すともう法律問題やパワーハラスメントですので、事実関係をはっきりさせて、人事部や上長などに相談するのもよいでしょう。ときには、あえて直接本人にいうことも必要です。
当人がアスペルガー症候群の自覚がないなら、早く真実を告げるべきでしょう。自覚がないのが一番問題になります。 |
備考 | 職種転換で異動できる場合は、してあげるのも手です。しかし、ニッチなビジネス展開をしている小企業では、雇用しつづけるのは厳しいこともありますので、再訓練を支援してやり、別の仕事に転職したほうがよいこともあります。
また、あまりに暴言で、他のスタッフを困らせる場合は、社内処罰規定に照らし合わせて、公平に一定の懲罰的な処分をするしかありません。
心療内科、精神科の中でも発達障害が得意な病院に、通院治療、グループ活動などで社会復帰をめざすのがよいでしょう。 |