事例研究 | 広告]
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事例の件名 | ケーススタディ: 仕事には気分がすぐれず行き辛いが、自分の楽しみのためには出かけられる |
状況や現象 | Kさん、男性24歳。大学卒業後、金融機関に就職したが、半年後くらいから朝仕事に行こうとするとなんとなく体がだるく、頭痛やめまいがするようになった。職場に連絡して休みをもらうと調子が良くなり、夜、同期の飲み会に出席したり、趣味の集まりに出たりしていた。
その様子をネット上に公開したことで、上司が「さぼっている」と問題視し、医師から診断書をもらうよう言われ、受診。
① 本人は、本当に調子が悪くて休んだだけで、「さぼっている」と言われるのは心外と思っている。問題視する上司がおかしい、そういう上司だから自分の体調が悪くなる、と同期にも話している。
② 休んで申し訳ない、といった気遣いが本人には一切なく、周囲はいやな気持になっている。上司は、自分の管理能力を問われるのでは、と心配になっている。 |
本人が困っていること | 頭痛, めまい, だるさ
飲み会や旅行など遊びには出れるし、会社のほうはむしろ喜んで休んでいるので、困り感はあまりない。ただ、体の痛みやめまい、だるさなどは感じるので、不定愁訴的なものはある。 |
周囲(上司・同僚・家族等)が困っていること | 職場の雰囲気が悪くなる; 上司のほうが疲れる
Kさんがすぐ休むので、上司や同僚のほうが仕事を依頼できず、困り感がある。当人が文句をいったり、「他人のせいだ」的な言動をするので、より上の部長や役員から、課長のほうが部下の管理能力に欠けるなどと思われはしないかと心配してしまう。同僚も、Kさんの仕事のしりぬぐいで、突然残業が増えたりするので、周囲の方が扱いに困るような状態である。 |
考えられる病気の可能性 | 非定型うつ病 |
当人や周囲がやったことがいいこと、解決のヒント | 心療内科・精神科 抑うつ状態、との診断が出て、服薬で様子を見ることに。
通常のうつ病では、「がんばらない」「よく休む」などで治療をしますが、このタイプのうつ病は他責性がありますので、グループで、過去の局面を事実をもとに分析したり、自分の経験を話し合ったりして、「自分にも責任の一端がある」ことや、「企業・組織に勤める以上は、そこの社内規程やルールのほうが正しく、守れない自分がいけない」ことを理解してもらうことが必要です。 |
備考 | 、「非定型うつ病」などと呼ぶこともあります。最近「新型うつ」「現代型うつ」と言われる状態です。ただし医学的に「新型うつ」「現代型うつ」という病名はありません。
特徴としては、
・仕事はできないが自分が好きなことは楽しめる
・考え方が他責的
という点で、従来型うつと大きく違います。
(従来型うつは ・自分の好きなことも楽しめない ・自責的になる という特徴があります。)
他責的なままですと、問題は何も解決しないので、普通のうつ病より治療が長引いたり、最終的には、勤めている企業での就業規則の休業限度期間を過ぎてしまって、解雇されてしまい、家族の援助なしには暮らせないといった事態になりがちです。縁故者がいない場合は、生活保護にまでなりかねません。 |