事例研究 | 広告]
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事例の件名 | ケーススタディ: 学生時代についていた癖で、就職後もスマホをいじっていたら、スマホ依存症に |
状況や現象 | Aさん、男性25歳。大学卒業後、希望通り、通信事業関係の会社に就職した。学生のときから、スマホで友だちとコミュニケーションしたり、ネットゲームが大好きだった。学生時代の論文も、スマホに関するニュービジネスで卒論を書いたりしていた。一方、リアルなコミュニケーションは苦手で、大学の中の友達は少なく、つい視線を避けたり、サークルでも聞き役に回っているだけで、発言は少なめだった。
スマホ流行の時代だからと、希望の通信系の会社に入ったが、部署内の会議や朝礼、昼休みもスマホを手放さない上に、会議中にスマホをいじったり、トイレでこそこそとSNSをしたりして、離席が多いことを上司にとがめられた。3度ほど口頭で注意されていたが、改善されないため、ついには始末書を書かされてしまった。
Aさんもそれなりに自覚していたものの、人生初めての始末書にショックを受けてしまい、翌日から出勤ができなくなった。会社にいって、上司に謝ったり、休み中の仕事を肩代わりしてくれる同僚や先輩に申し訳ないと思うものの、家から外に出れない。
自宅では、ひきこもりのようになって、ぼーっとただネットの友達とスマホでチャットしたり、SNSに嘘の近況報告をするだけである。 |
本人が困っていること | 眠れない, 勤怠の悪化, 眼の痛みやドライアイ, 指の痛み
冷静になると「大人になって就職したんだから、会社のルールには従わないと」と思いつつ、「スマホくらいで、始末書だなんて」「スマホなんて誰でも使っているのに、自分だけ注意された」などと思う身勝手な気分が、交錯してしまう。
それに、いまどき何でもスマホなので、10分も手放すと不安になってしまうし、今回の失敗を反省すると、通勤時も手放せないので、何度も落として破損したことがある。自宅に置きわすれたら、(社内では内線電話がいくらでもあるのに)遅刻しても取りに戻ってしまう。
そういえば、イライラしたり、眠れなかったり、画面を見続けているとドライアイのように目が痛んだり、スマホの画面を触る指の皮がはがれそうになっていたり、全体に自分でもおかしいなという気はしてきている。 |
周囲(上司・同僚・家族等)が困っていること | 反発的に失言や暴言を何度も繰り返す; 勤怠の悪化; 挨拶、謝罪、お礼なども言わない; 社内規範を守れない
私用スマホはいけないと何度注意しても、当人の行為が改善しない。若手なので、がんばってほしいし、
せっかく仕事も覚えて一人前になりかかっているのに、部署内での規律上、問題であるし、遅刻や無駄な行為が多く、先輩や上司に突然反抗的になったりして、周囲も困っていた。 |
考えられる病気の可能性 | スマホ依存症; ネットゲーム依存症 |
当人や周囲がやったことがいいこと、解決のヒント | 産業医、心療内科をすみやかに受診。
無断欠勤が続いてしまい、家からでなくなったので、就業規則上、解雇になってしまった。
解雇されたものの、上司が心配してきて電話してきて、「あまりに変だから、近くの心療内科を受けなさい」とすすめられて、親に連れ添われて、勇気を出して病院に通っているが、3か月後、スマホ依存症、ネット依存症などと診断された。
インターネットができないような精神科の大学病院に入院して、治療中。治療では、スマホやPC、インターネットを使う時間を制限されたり、手放されたりなどして、治療に専念している。 |
備考 | デジタルネイティブなどと言われる若年層の、スマホ依存症やネットゲーム依存症などの一例です。
この例では、まだ社会人であるため、上司や同僚から注意を受けており、親も治療に協力的ですが、韓国などでは寝食を忘れてネットゲームをしていたがために、エコノミー症候群になってしまい、消耗死的に亡くなった十代青少年もいます。
依存症は、さまざまな誘惑がありますが、それにのめりこまない環境がないと、自力での解決は難しいといえるでしょう。
学生のうちは、多少夜中にスマホでのゲームをやりすぎて、朝起きるのが遅くなってもしかたないですみますが、プロフェッショナルな社会人は、それでは勤怠問題になってしまい、最悪解雇になりかねません。 |