事例研究 | 広告]
|
事例の件名 | ケーススタディ: 自分はメンタル不調とは関係ないと思っていたのに、気分が沈んでしまう |
状況や現象 | Pさん、46歳女性。大学卒業後、大手メーカーに就職した。いくつかの部署を経験したが、現在は経理で課長職。順調にキャリアを積んで、仕事にやりがいも持っている。仕事は波がありながらも常に忙しい状態だが、Pさんとしてはこなしていけるボリュームである。課内の人間関係もそこそこで、自分としてはかなりいい課の運営ができていると思っている。
先日、自分の同期の女性が、地方の工場の課長職から異動してきて、自分の上のポジション(次長職)についた。Pさんも驚いたが、周囲も「抜擢」とうわさしている。
Pさんとしては、同期女性の昇進を喜ばしく思う反面、「なぜ自分が後れをとったのか」と悔しくも感じている。
ここ半月ほど、Pさんはわけもなく気分が沈み、朝早く目が覚めてしまうようになった。仕事にもあまり集中できないと感じ、時々何もないのに涙が出てしまうこともある。親しい友人に相談したところ、心療内科受診を勧められた。 |
本人が困っていること | 気分がうつうつとする, 朝早く目覚めすぎる, 集中力が落ちた
順風満帆、体調も悪くなくここまで来て、いきなり気分の変調が出て、本人も戸惑っている。勧められて受診してみたものの、自分がメンタル不調になるとは思えない。 |
周囲(上司・同僚・家族等)が困っていること | 周囲の理解不足
今まで元気で仕事をこなしていたPさんが、いきなり沈んでしまったので周囲もどうしていいか分からず、戸惑っている。 |
考えられる病気の可能性 | うつ病; 自律神経失調症; 抑うつ状態 |
当人や周囲がやったことがいいこと、解決のヒント | 心療内科・精神科 抑うつ状態との診断が出て、服薬とカウンセリングでの治療となった。 |
備考 | 今までずっと順調に来ている人でも、いきなりうつの症状が出てしまうこともあります。うつ病は自信があって元気な人でもかかることがあります。気合いの問題ではなく、脳内物質がかかわる病気です。
Pさんのケースでは、まず本人が自分の状態を認識することが大事です。きちんと服薬し、カウンセリングを受けるなど、「この病気(状態)と向き合って取り組んでいこう」という意識が回復につながっていきます。
うつ病の中には、非常に低い可能性ではあるものの、双極性障害(昔でいう、躁うつ病)の可能性も潜んでいます。Pさんのように日頃、明るい人の場合で、突然涙ぐむなど、アップダウンの激しい性格をもともともっている人の場合で、うつ病治療で1年も2年も治癒しない場合は、双極性障害を疑い、セカンドオピニオンで他の心療内科・精神科にも受診してみたほうがよいでしょう。
予防としては、日頃より「他人は他人、自分は自分」「出世するしないは、自分が決めるのではなく、会社側が理由があって決めることであって、それを羨んだりしない」「出世と幸福とは必ずしも一致しない」ことなどを自分で理解するようにしましょう。出世だけが価値観なだけではありません。 |