事例研究 | 広告]
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事例の件名 | ケーススタディ: 職場の雰囲気が合わずに、うつ病に |
状況や現象 | Aさん、男性27歳。大学卒業後、建設会社に就職した。現場管理を任され、気の荒い職人肌の人たちと仕事をすることになり、その雰囲気に合わないと感じていた。
年上の同僚(職人気質の男性)が定年退職することになり、その業務の引き継ぎをAさんがすることになった。その同僚は気性が荒く言葉がきついため、Aさんはいつも怒られ責められているような気分になってしまい、徐々に引き継ぎ作業をすることが苦痛になって出社しづらくなった。
まじめで几帳面な性格のAさんは、その同僚男性の荒っぽく大雑把なやり方に納得できなかったが、自分がこの業務に責任を持たなければいけないという責任感も強く感じていた。引き継ぎが2週間ほどになるうちに、Aさんは眠れなくなり食欲も落ち、出社することが苦痛にしか感じられなくなっていった。 |
本人が困っていること | 気分がうつうつとする, 眠れない, 食欲がない, 勤怠の悪化
当人が職場文化になじめず、まじめで責任感があるがゆえに、無理な業務引継ぎをしているうちに、不眠、食欲ダウン、出社困難に陥ったこと。
上司や先輩に相談したが、「彼が相手で大変なのはわかるが、引き継ぎが終わるまでだから頑張ってくれ」と言われ、改善には至らなかった。 |
周囲(上司・同僚・家族等)が困っていること | 支援要員の不足
上司や先輩も、当人以外にちょうどいい引継ぎスタッフをまわせなかった。要員計画の都合で支援できない状態だった |
考えられる病気の可能性 | うつ病; 自律神経失調症; 抑うつ状態 |
当人や周囲がやったことがいいこと、解決のヒント | 産業医、心療内科を受診。
上司の勧めがあり、心療内科を受診。うつ病の診断が出て休職に入ることになった。治療方針は投薬とカウンセリング。
最終的に、勤務先を退職したが、地道に治療を継続し、回復をめざす。 |
備考 | 比較的、うつ病の典型的な事例です。
(1) 職場環境、組織文化などが、当人の感覚とギャップがあり、ストレスにさらされています。
(2) 根がまじめで、責任感のある人柄です。
(3) 不眠や食欲の異常(過食も含む)など、初期症状がうつ病にありがちですし、不眠により脳を酷使してしまい、自律神経の失調が考えらえます。
(4) 次第に勤務困難となってきてしまい、元がまじめという評判なのに、眠れないために遅刻や突然の病欠などが発生しがちです。
(5) 人によっては、頭痛やめまい、肩こり、腰痛、口の中の違和感などさまざまな不定愁訴が発生する人もいます。最初、内科や頭痛外来などに通っていてもなかなか治らないので、精神科や心療内科などに早めに診察をうけることがおすすめされます。 |